2011年5月26日木曜日

TBSの「JIN-仁-第6回(5/22)坂本龍馬の闇」を見ました


 仁友堂では、ペニシリンを粉末にする実験が精力的に行われていました。しかし、幕末の江戸は打ちこわしなどが行われ騒然としていました。そこへ横浜のフィリス医師から手紙が来ました。
咲が「先生が長崎に言っておられることを知ってないのでしょう。」と言います。
そこへ、佐分利祐輔たちが戻って来ます。咲が「講義はどうでございましたか。」と聞くと祐輔は「講義は良かったのですが、町では打ちこわしが起きていました…」と言います。
咲は「大丈夫でしょうか、長崎は…」と仁のことを心配していました。

そのころ仁は長崎にいました。松本良順の紹介で、精得館で講義をしていました。そこには年配の学生で、岡田という勉学に熱心な学生がいました。しかし、それ以外の人たちは暗く、雰囲気があまり良くありませんでした。その原因は、オランダ人の教官ボードウィンにありました。ボードウィンは、仁に不信感を持っていました。
ボードウィンが仁に「あなたはオランダ語が出来ないのですか…」と聞きます。仁は「はい。英語が少しだけ出来ます。」と答えます。
ボードウィンが「どこかに留学されたことはあるのですか…」と聞くと仁は「いいえ…」と答えます。
ボードウィンは仁に「留学もしていないあなたが、私たちが出来ない事が、出来るはずがない…あなたはどこで医学を修得したのですか…」と聞きます。仁はただ「記憶を無くしたものですから…」とだけしか言えませんでした。

それでも仁は、ペニシリンの講義が忙しくて、なかなか龍馬に会うことが出来ませんでした。
仁は「龍馬さんに会ったら、暗殺のことを知らせよう…歴史の修正力がどこまで許すかどうか…」と思っていました。

そんなある日のこと、龍馬がけがをしたグラバーを精得館に連れて来ました。グラバーは馬に乗っている所を刺客に切りつけられたそうです。
「龍馬さん…」
「先生、どうしてここに…」
「龍馬さんに会えてよかった…」
 グラバーは、目を切られていて、眼科が専門のボードウィンに診察を受けていました。
「あの患者さんは、知り合いですか…」
「グラバーは、わしの仕事相手じゃ…治るかのう、先生…」
 するとボードウィンが「視力は大丈夫だけど、涙が止まらなくなるかもしれません…」と言います。龍馬は仁に「先生、何とかならんかのう…」と言います。仁は龍馬に言われて、グラバーを診察します。ボードウィンは、そんな仁を疑いを持って見ていました。
仁はボードウィンに「お見立てどうりです。涙小管が断裂していますね…」と言います。
龍馬が仁に「治せるのかね…」と聞くと、ボードウィンが「治せないことはないのかね…」と聞きます。
仁が「私は眼科ではないので…」と言うと、ボードウィンが「筋を明かさないのならば、その腕を見せてくれ…」と言います。
仁は「出来ないとは言いませんが…」と言いながら、口ごもって「問題はシリコンチューブがないことだ…」と独り言を言います。その時、グラバーが騒ぎます。グラバーとしては、訳のわからない日本人医師の仁に手術をしてもらうよりは、オランダ人の眼科医ボードウィンに手術をしてもらう方が安心だからです。龍馬はそんなグラバーをなだめます。
「大勝負やから、仁先生にまかしとけば…」と
仁は龍馬に「龍馬さん、探してきて欲しい物があるんですけど…」と言います。

ボードウィンは、グラバーの手術を始めようとしていました。そこへ、異様な姿をした仁が現れます。みんなは唖然として仁を見ていました。仁は龍馬に「眼鏡を…」と言います。そして「この手術には拡大鏡を使います…」と言います。拡大鏡を装着して手術を始めます。仁が「灯りを…」と言うと、誰かが無人灯を持って来ます。すると仁が「これが無人灯ですか。久留米の田中久重が作った…」と言います。
「では、手術を始めます。」こうして、仁によるグラバーの手術が始まりました。
仁は、懸命に手術をしていました。「あった…針金を…」と仁が言うと、誰かが「針金をどうするんですか…」と聞きます。仁は「針金を涙小管に通しておけば、癒着しないのです…」と言います。現代ならば、シリコンチューブを使うのですが、この時代にはないので、細い針金で代用したのです。
「入った…」手術は山場を越えました。その時、グラバーの瞼がふさがります。仁は手術を中断して、「どなたか…」と言います。その様子を見ていたボードインがすかさず助手として仁の側に入ります。そして「手術を続けて下さい…」と言います。仁はボードウィンを信用して手術を続けます。

手術は無事に終わりました。
仁が「これで手術は終了です。針金は、一ヶ月後に手術をして抜き取ります。この後は、化膿しないように、ペニシリンを使います…」と言います。
するとボードウィンが拍手をします。周りの者たちも拍手をします。するとボードウィンが「これまでの御無礼を赦して下さい…」と言います。仁も「私こそ…」と言って、二人は握手をします。ボードウィンは仁の手術ぶりを見て感動していました。

仁は龍馬の所へ行きます。そこには、護衛役の東もいました。
「龍馬さん…」
「終わったかね…」
「先生、お久しぶりで…」と、東が言います。
龍馬は仁に「グラバーは、いつ屋敷に戻れる…」と聞きます。
仁は龍馬に「明日にでも…」と答えます。そして、これから龍馬の身に起こるであろう事を伝えようと思い「話があるのですが…」と言うのですが、龍馬は「すまん、先生。用があるんで…」と言います。仁は「どうしたんですか龍馬さん…」と言います。
龍馬と東は、一緒にどこかへ行きます。
東が龍馬に「お二人は知り合いですか…」と聞くと、龍馬は「先生が来るとは、とんだ誤算じゃ…見られたらこまるが…」と言います。

仁は、グラバー邸の二階にいました。
「グラバーさんって、どっかで聞いたことが…」と、独り言を言います。そして、ふと窓から外を見ると、龍馬が下で何かをしていました。
「あれ、龍馬さんが…」
龍馬は、グラバーから仕入れた銃を運んでいました。仁は、龍馬が江戸にいたころとは変わっている事に気づきます。
龍馬がふと上を見ると、グラバー邸の二階から仁に見られている事に気づきます。龍馬は直ぐに、仁の所へ行きます。
龍馬が「待たせたのう…」と言って、部屋に入って来ます。仁は「別に待っていません…」と答えます。
龍馬は仁に「あの銃は、わしが薩摩の名前で買って、長州に流すのよ…シークレットでお願いする…」と言います。仁は、戦争を商売に利用するやり方に違和感を感じていました。

龍馬は仁を誘って、写真館に写真を撮りに行きます。
龍馬は仁に「写真を撮っておけば、わしが切られても写真は残るだろう…」と言います。そして、二人で並んで写真を撮ります。その写真は、あの有名な龍馬の写真に、仁が一緒に写っているものでした。
龍馬は仁に「先生が見た銃は、日本では最新式の銃じゃ…しかし、西洋じゃ型落ちした銃じゃ…西洋から安く仕入れて、日本で高く売る…これが商売じゃ…戦になれば、ペニシリンも売れる…」言います。
仁は「ペニシリンは、粉末化に成功したと言っても扱い方が難しくて、まだ大量に生産できません。亀山社中で扱うのは難しいと思います…一か所で大量生産するのではなく、生産拠点を各地に作ろうかと思っています…」と言います。
龍馬は仁に「先生が大量に作り、大量に売ればもうかるのに…それに安く売れるやろ…」と言います。
仁はふと独り言のように「保険があれば上手くいくのに…」と言います。
龍馬は仁に「前に言いよった、歴史を変えると言うのはいいのか…」と聞きます。
仁は「今は、出来ることなら変えたいと思っていることもあります…」と言います。そして、保険について説明します。
「保険と言うのは、国が治療代の一部を患者さんの代わりに払うことです…私が考えたことではありませんから…」と
するとすかさず龍馬が「財源は…」と聞きます。仁は答えようとするのですが、龍馬は独特の経済感覚で、保険の仕組みを言い当てます。「講の形にすればいいのか…」と…仁は龍馬の先進性に驚きます。そして仁は、本来の目的である龍馬の将来について話そうとします。
「実は、もう一つ話したいことがあります。落ち着いて聞いてください。龍馬さんはこの先…」ここまで言うと、いつもの発作が起きます。仁は、あの包帯の男のことを思い浮かべていました。「オレはオマエだ…オマンはワシじゃ…」
龍馬は仁の様子を見て心配になり「なんか悪い病気にでも掛かっとるのでは…」と聞きますが、仁は「飲み過ぎただけです…」と言ってごまかします。
龍馬は仁に「長州に行かんかい…ペニシリンを使って見せて置くのもいいじゃろ…」と言います。仁は「ご一緒します…」と答えます。
仁は思います「この国の明日は…密輸…戦争…倒幕…明るい気持ちでは聞けない…この混沌の中に龍馬さんはいる…」

江戸では勝が「オイラも徳川の家臣だから…幕府はどうなってもいいが、徳川だけはちゃんと残ってもらわなければ…」と言っていました。

龍馬は「徳川の時代を終わらせ、この国を立て直す…どうしても必要な戦じゃ…勝先生も分かってくれるはずじゃ…」と考えていました。

恭太郎は勝の所にいました。
「先生、軍艦奉行おめでとうございます。」
「困った時ばかり、オレにお役を回しやがる…幕府の連中は分かってない…フランスの考え…薩長の出方を…」
「坂本さんが薩長を結び付けたんでしょう…」
「たとえそうでも、オイラ、アイツのことを敵と思ってないよ…」

恭太郎は仁友堂に来ました。
「兄上、先生はまだ長崎で…」
「先生は、坂本殿の所か…」
「先生が、戦に巻き込まれていないかと…杞憂ならよいのですが…」

龍馬と仁は、銃を持って長州へ着ていました。
桂が銃を見て「見事な物でござる…最新型でござるか…」と言います。龍馬は仁に「先生、こちらが桂小五郎殿です…」と紹介をすると、仁は「桂さん、あの有名な…」と思います。
桂が「もしや、ペニシリンを作った…久坂から聞いております。ペニシリンはいい薬だと…」と言います。
龍馬は久坂の言葉を思い出します「オマエは間違えるな…この国の未来を…」と
龍馬は桂に「そのペニシリンを粉末化したものを…製造所を作らんか…」と言います。
桂は龍馬に「悪いけどこの戦では、出番がないかも…」と言います。

龍馬たちは、戦場の視察をしていました。
龍馬が「何じゃ、長州は面白いように勝ちよるのう…」と言うと、東が「幕軍は、もう退却ですか…」と言います。すると龍馬は「時代の流れじゃ…」と言います。
東が「幕府がやられることがですか…」と聞きます。龍馬は「それもあるけど、長州兵は町民じゃ…身分がどうのこうのという時代は終わった…」と言います。圧倒的な戦力の差がそれを物語っていました。
仁は「私には、どちらが長州でどちらが幕府か分かりません…同じ日本人がもみ合っているとしか…」と言います。龍馬は「それが、今は必要なのじゃ…」と言います。

江戸では、咲が仁のことを心配していました。それを見かねた山田純庵が咲に「咲殿、便りがないのは良い便りと言いますよ…」と慰めていました。

龍馬は仁に「元気がないのう…先生…」と言います。
仁は龍馬に「龍馬さん…こんな方法しかないのですか…新しい国を作るのは、戦争しかないのですか…」と言います。そこへ幕軍の兵がやって来ます。長州兵は幕軍の兵を殺します。
龍馬は仁に「これが戦じゃ…戦争も必要なんじゃ…先生…」と言います。仁は「やっぱり変わりましたよ…龍馬さんは…」と言います。
龍馬は仁に「何べんも言うけど…これが必要なんじゃ…」と言います。
仁は龍馬に「戦だけしかないのですか…たとえ政権を取っても上手くいかない…暴力は暴力を産む…」と言います。
龍馬は仁に「先に殺されたら、それで終わりじゃ…どんなにいい考えを持っていても、ばっさりやられたら終わりじゃ…先生は特別な人じゃ、綺麗ごとばかり言える…」と言います。
仁は「龍馬さんから見たら、私は特別ですか…でも私だって、国をよくしようと戦っているつもりです…私なりにですけど…」と言います。そして仁は、幕軍の負傷兵を見て「私は、ただの町医者…治療します…」と言って、歩いて行きます。龍馬は、一人で別の方向に歩いて行きます。「先生は、負傷兵を助けるか…」と言いながら…

仁は、負傷兵を治療しながら、幕軍と行動を共にしていました。そして、負傷兵を休ませる所を探していました。
仁はが「あそこで休めるかもしれません…」と言うと、一人の侍が「ここは長州…民とはいえども敵じゃ…」と言います。仁は「様子を見て来ます…」と言って、民家へ向かいます。仁が家の中に入ると、そこはもぬけのからでした…

龍馬は仁の言葉を思い出していました。「暴力は、暴力を産みます…」
龍馬は、走ってどこかへ行きます。

仁は民家から出ると、幕軍の将兵を呼び寄せようとしますが、仁の目の前で、将兵たちは打たれて死にます。
その時、象山の声が聞こえて来ます「もしオマエのやったことが意に済まぬことであったならば神は取り消す。神はそれほど甘くはない…」と
仁は思います。「この人たちを助けたら、歴史に問題があるのですか…なぜこんなことを…」

龍馬は仁を探しに来ていました。
「先生!南方先生!…」
東が龍馬に「南方先生もまさかやられたのでは…」と言います。
龍馬たちは、仁がいた民家を見つけます。
「誰ぞ、誰ぞおらんか…」と言って、民家の中に入ります。そこには幕軍の将兵の死体が並んでいました。
東が龍馬に「先生がここまで運ばれたのでしょうか…」と言います。
龍馬は仁の言葉を思い出します。「龍馬さんが売った銃が、使われているんですよ…」を

その時仁は、別の幕軍の所にいました。そして「私は医者です。治療の手伝いをさせて下さい…」と言います。

江戸では、幕閣達が話をしていました。
「ぼろくそに負けているって…たかが長州に…」
「問題は銃だよ、火力が違う…」
「坂本にも困ったもんだ…」

仁は、あれから幕府軍で治療をしていました。そして、幕府軍の蒸気船で長崎に送ってもらいました。そんなある日のこと、仁は独り言をつぶやいていました。
「保険のことは良くて、暗殺のことは駄目…未来の仕組みを教えること赦されるが、暗殺の様な龍馬さんに直接かかわることは赦されない…」と

そこへ、年配の学生、岡田がやって来ました。
「南方先生…」
「岡田さん…」
「国に戻るので、お礼にまいりました…実は、岡田と言うのは偽名で…田中久重と申します。」
仁は驚きます。そして「偽名…あの無尽灯や医療器具を作られている…田中久重先生ですか…」と言います。
田中は「何を作るも同じことです。私の作った物を見て、人がわっと笑う…わっと喜ぶその様子を見たさにあれこれと…」と言います。
仁は田中に「いい人生を送られていますね…」と言います。
すると田中は「息子と孫をともに殺される人生がですか…息子と孫は長崎で切られました。しかも、留学したことのある開明派の武士に…ある日突然…」と言います。
仁は「どうしてそんなに痛ましい事ばかり…」と言います。
田中は「時代の渦に飲まれてしまったと言うべきか…今日の味方が明日の敵に…明日の敵がまた味方に…ぐるぐると時代は渦を巻いています…どこを目指せばいいのか…」と言います。
 仁は「私の友人もです…私はそこから引っ張り出せなかった…」と言います。
 田中は「ともに飲まれてはいけない…道しるべに…先生ご自身が無尽灯のように…
ボードウィン先生は、先だって南方先生の講義を聞いただけで、自力でペニシリンを作ることに成功されました…」と言います。
仁は、懐から何かを取り出して、田中に差し出します。
「あのう、これを…電球というものです。電気を通せば明るく光ります…」
田中は受けとると、電球をじっと見つめます。そして「これは、しかし…この精巧な細工は、この世の物とは思われませぬ…これを何処で…」と言います。

仁は思います。「相手の笑った顔か……世を照らそう…医療という世界で…灯せるのは、小さな小さな世界だが…」

 龍馬は考え事をしていました。そして歩きだします。
 東が龍馬に「どちらに…」と言います。
 龍馬は「ちょっと道を間違って、迷子になってしまったようだ…のう先生…」と言います。

 江戸の恭太郎は、幕閣に呼び出されていました。
 「坂本を知っておるか…」
 「以前は…」
 「ついては、坂本を探ってもらおう…」

 今週はここまでです。次週に続きます。

 今週の仁は、歴史の修正力に挑戦しました。そして分かった事があります。それは、「保険のことは良くて、暗殺のことは駄目…未来の仕組みを教えることは赦されるが、暗殺の様な龍馬さんに直接かかわることは赦されない…」という、仁の言葉に表されています。
また、幕軍の負傷兵を助けようとした時に、仁の目の前で皆殺しになったとき、象山の言葉が聞こえます。「もしオマエのやったことが意に済まぬことであったならば神は取り消す。神はそれほど甘くはない…」と…。しかし、仁は理解出来ませんでした。それは、仁が倒幕という時代背景を理解していないからだと思います。現代日本の平和ボケした「水と安全はただ」という考え方をこの時代にあてはめても無理な事だからです。
ただ、仁の言葉(現代の正論?)「龍馬さん…こんな方法しかないのですか…新しい国を作るのは、戦争しかないのですか…」「戦だけしかないのですか…たとえ政権を取っても上手くいかない…暴力は暴力を産む…」に、最初は抵抗していた龍馬ですが、胸に刺さる物を感じたようです。それは龍馬の「ちょっと道を間違って、迷子になってしまったようだ…のう先生…」の言葉で分かります。
たぶん、作者はここから、龍馬による大政奉還へとつなげたいのだと思います。そして、勝と西郷による江戸城の無血開城へと…

それから、仁がいくら歴史音痴だと言っても、幕末の有名人グラバーを知らないで、田中久重を知っているという設定は、少し無理があるのではと思いました。日本人の成人で、幕末のグラバーを知らない人は少ないと思いますし、逆に知る人ぞ知る、田中久重のことをどれだけの人が知っているのかと思います。

ところで余談ですが、田中久重が仁に登場した時、私はビックリしました。それは、私の住む久留米市の偉人だったからです。田中久重は、からくり義右衛門とも呼ばれ、いろんなからくりや発明をしています。からくり人形(現代のロボットとも言うべき物)や久留米がすりの織り機に始まり、蒸気機関・アームストロング砲・万年時計などです。元々は、鼈甲細工店の長男として生まれたのですが、子供のころからからくりが好きで、店の跡は弟に譲り、からくりで生きて行くことに決めました。そして、明治になってから新政府に頼まれて、東京に店を出しました。それが現在の東芝の前身です。つまり、田中久重は東芝の創業者の一人です。

それでは、今週はこのへんで…次週の仁はどうなることやら…楽しみです。


後記


左上の写真は、田中久重が作った、太鼓のからくり時計をモニュメントにしたものです。JR久留米駅の駅前広場に飾られています。時間になったら、久留米出身の作曲家中村八大や歌手の松田聖子・チェッカーズ等の曲が流れるようになっています。
左下二枚の写真は、久留米藩鋳造所跡の碑の写真です。今は何も無く、高牟礼市民センター(市役所の出先機関)の敷地内に碑だけが立っています。西鉄バスの矢取営業所のすぐ前にあります。田中久重は、ここで大砲などの武器を作っていたようです。直ぐ近くには、陸上自衛隊の幹部候補生学校や第四特科連隊があります。何か不思議な関係があるのかなと思います。

2011年5月18日水曜日

TBSの「JIN-仁-第5回(5/15)消えた体の謎」を見ました

 仁は、懸命にお初の手術をしていました。その時、仁の体が消え始めました。咲が「先生!先生!」と叫びます。
 仁は、体が消えた後、浮遊したようにさ迷います。
 「ここはどこだ…誰かが結婚をしている…あれは成長したお初ちゃん…」
 角樽ののしに南方の文字がありました。
 「あの男は、オレの先祖か…」
 また別の所に浮遊します。
 「あれはオレの生まれた家では…するとあの子は、オレか…」
 「お初ちゃんが成長するとオレじゃないオレが生まれるのか…」
 
 しばらくすると仁は、お初を手術している部屋に戻ります。咲が、「先生!先生!お初ちゃんが…」と叫んでいます。仁が気づくと、お初は大量出血をしていました。
 「悔しい…何で、何で!戻ってこいお初ちゃん…」仁は叫びながらお初の蘇生をしていました。しかしお初は戻ることはありませんでした。
 お初の父親が「これがお初の定めだったのだ…ありがとうございました。」と仁に言います。
 仁は「申し訳ございません…」と言います。

 咲は、仁と二人になると仁が消えた後どうなったのかを聞きます。仁は、お初の結婚式や自分の生まれた家屋、自分の子供時代を上から眺めていたことを話します。
 「消えてしまってるうちに、そういう映像を見ました…私はお初ちゃんの命の代わりに生まれてくるのでは…」
 すると咲は「お初ちゃんの定めでは…先生のせいではありませぬ…」と言います。
 仁は「私は前から思っていたんですけど…私は誰も助けていないのでは…たとえ助けたとしても、その後で別の問題で直ぐに死んでしまう…」と咲に言います。

仁は江戸にもどって、勝と恭太郎に会っていました。
仁は勝に「龍馬さんが、襲われたのですか…」と聞きます。
勝は仁に「逃げ延びたらしいよ…先生、こっから先、龍馬とかかわる時には充分に注意してくんない…」と言います。
話が終わって恭太郎は、仁と二人になると「先生、咲をどのように思われているのですか…」と聞きます。
仁は「私に出来ることは、咲さんを一人前の医者にすることです…」と言います。
恭太郎は仁に「本当にそうでしょうか…」と言います。
仁は恭太郎に「いつ消えるかもしれない、身元も分からない人間ですから…」と言います。

寺田屋事件を聞いた仁は、龍馬の言葉を思い出します。「南方仁がおれば、坂本龍馬は死なん…」そして「歴史の修正力…オレは何の為にここに来たのだろうか…」と思います。

仁友堂に、歌舞伎役者の澤村田之助がやって来ます。
「先生、ちょっくら診てもらいたいやつがいるんだけど…私の兄弟子で、吉十郎という役者で…」
すると咲が「あの坂東吉十郎で…」と言います。
仁と咲は、吉十郎の診察に行きます。吉十郎は重病でした。
診察が終わると仁は「鉛炎がみられます…鉛中毒です…」と言います。
すると田之助が「何で…」と聞きます。仁は「おしろいに鉛が入っています。化粧を落とす時などに、溶けたものが口から入ったのでは…」と言います。
その時、吉十郎が苦しみだします。仁は「咲さん、モルヒネ…」と言って、吉十郎を治療し始めます。
治療が終わった後、咲は吉十郎を看病していたのですが、吉十郎が落ち着いたので仁と田之助の所に来ました。
仁が咲に、吉十郎の様子を聞くと咲は「モルヒネはあまり聞かないようでした…自然に落ち着かれたようで…」と言います。
田之助が仁に「それで兄さんは治るのかい…」と聞きます。
仁は「治りません…鉛を体内から出す方法が無い…」と言います。
田之助は「せめて舞台に…最期の舞台に立たせてやりたい…」と言いますが、仁は「それは無理です。手足がしびれていて、立つことも難しいのに…」と言います。すると田之助が興奮して「無理、無理言うだけなら誰にでもできる…そんなの医者じゃねえ…」と言います。
仁は困って考えます。そして、思いなおして「そうですね…吉十郎さんを仁友堂に運んで、治療してもいいですか…」と言います。

仁は、吉十郎を仁友堂に連れてくると治療を始めます。食事療法・ペニシリンの点滴・塩化カルシウムの投与。考えられる治療法は全て行いました。その甲斐があってか、吉十郎の様態は少しずつ持ち直していました。
咲が、吉十郎の息子の与吉に「お父っあん、薬が効くようで良かったね…」と言いますが、与吉は黙っていました。この親子には何か秘密があるようでした。

咲は仁が、いろいろと治療法を探しているのを見て「先生、いつもより張り切っていますね…」と言います。仁は「鉛の解毒が出来るものが無いかと思って…」と言います。
仁は福田玄孝に「生薬で、解毒作用のあるものはありませんか…」と聞きます。玄孝は「いろいろありますが…」と言って仁に生薬を見せます。
仁は生薬を使うことにしますが、玄孝が「鉛に聞くかどうか、どうやって試すのですか…」と聞きます。仁は「ネズミで為します。」と言って、実験装置を作って玄孝に見せます。玄孝が「しかし、何とも残酷ですな…」と言うと、仁も「本当に…」と言います。
玄孝の言葉は、この時代の本草学では、動物実験などはあまり行われていなかったからでしょうが、まったくなかったわけではありません。有名な花岡青洲の麻酔薬の場合は、確か猫で行われていたと思います。その後に、母親と妻が何回も人体実験を行い完成させています。しかし妻は、人体実験の結果失明してしまいます。

仁は吉十郎の診察をしていました。
「感染症は良くなっているようで…傷は良くなっています…」
吉十郎は寝言を言っていました。
「これはお芝居のせりふでは…」
「先生、この分では舞台に立てるのでは…」
咲が診察の様子を見ていた与吉に「この分だとお父っあん、舞台に立てるかも…」と言いますが、与吉は黙って立ちあがり、どこかに行きます。咲は仁に「先生、この親子何かあるのでは…」と言います。

咲が縁側に来ると、庭の方で与吉が何かをしていました。咲はそれを見て「与吉ちゃん、何しているの…」と言います。与吉はびっくりしますが、何も無かったふりをして、庭の石が「ずれていたから…」とだけ言ってどこかに行きます。

仁は自室で研究をしていました。そこへ咲が灯り用の油を持って来ます。
咲は仁に「油をお持ちしました…ちゃんと眠られていますか…川越から戻られて、ろくに寝られてないのでは…」と言いますが、仁は無心で研究をしていたので、咲の言葉がほとんど耳に入りませんでした。
「ネズミ…」
「先生、ちょっと…」
「食事療法と塩化カルシウムが思いのほか聞いているようで…芝居の練習が出来るかも…」
「先生、何かお心配な事は…」
「信じられないほどいいです…私の知る限りではありません…何千種類の生薬の中から…すいません興奮して…」
「先生、のめり込み過ぎているのでは…」
「負けたくないのです。歴史の修正力に…ここで負けたら…ここに来た意味が無くなる…自分の出来ることは延命ぐらいしか…」
「延命だけではいけないのですか…未来は、どうかは知りませんが…未来では人は死なないのですか…」
「私は、何の為にここに送られて来たのでしょうか…」

吉十郎は興奮して、与吉を叱りつけていました。思いのほか病状が好転していました。吉十郎は仁と咲に「こいつは本を捨てやがった…今度やる舞台の本だけを捨てよった…」と言います。咲が「与吉ちゃんは、吉十郎さんの体のことを心配して…」と言います。
すると吉十郎が「そんなんじゃない…こいつはオレが、嫌いで嫌いで仕方がないんだ…与吉も、女房もろくに面倒を見てやらなかったから…家に帰るぞ…」と言います。咲が「行くことはない…ここに居ていいよ…」と言うと、吉十郎は与吉に「今度は、ここの厄介になるつもりか…」と言います。
与吉は吉十郎を大八車に乗せて、家に連れて帰ります。

仁は吉十郎を心配して「投薬を辞めたらどうなるか、様子を見て来ます…」と言って、吉十郎の家に行きます。吉十郎の家に行くと、吉十郎は稽古をしていました。
咲が「よくあんなに動けますね…大丈夫ですか吉十郎さん…」と言います。仁は「ここで無理をしたら…」と言います。その時、吉十郎が倒れます。
すると、佐分利祐輔がやって来て「ちょっとすんまへん、私が痛み止めを忘れたんや…ちょちょちょっと治しますから…すんまへん…」と言います。

仁は田之助に「芝居に出るのは考え直した方が…舞台に立つ前に無くなるかも…どうして、あそこまで…」と言います。
田之助は「親だからだよ…兄さんは、役者バカだから…芝居と酒にのめり込んで、子供と嫁さんを捨ててしまった…嫁さんは、そんな兄さんに嫌気がさして、男を作って逃げ出してしまった…兄さんは放蕩が過ぎて、体が悪くなって…芝居が出来れば食って行くことが出来ると思って、あの子に芝居を教えようとしたが、あの子は言うことを聞かなかった…強情で…」と言います。
田之助は吉十郎とのやりとりを思いだすようにして話し続けます。
「田之助、与吉にオレの芝居を見せてやれないか…」
「兄さん、その体じゃやれないよ…」
「オレが与吉にのこしてやれるのは、それしかない…オレは人間の屑だ…いまさら赦してもらおうとは思っていない…オレには芝居しかない…親父には一つだけ取り柄があったと思えば…それだけで生きていけるのでは…」
田之助は仁に「先生、命の値打ちとは、長さだけなのかい…」と言います。

吉十郎は自分の部屋で寝ていました。そこに佐分利祐輔が来ます。
吉十郎は祐輔に「さっきはありがとう…」と言います。
祐輔は「私は医術を極めたい…だから、あんたが芸を極めたい気持ちが良く分かる…」と言います。

咲は、仁と二人になったとき「先生がここに来られた訳は、一人一人の命を救うのではないのかもしれませぬ…もっと大きい世の営みを超えるものでは…」と言います。

仁は、どうにかして吉十郎の治療法を見つけようとしていました。そして、福田玄孝に本草学の生薬について質問していました。
「これは何という薬ですか…」
玄孝は「名前と言われても…吉十郎さんの症状に合わせて調合したものですから…」

吉十郎は厳しい稽古をしていました。そして倒れます。側にいた祐輔が「直ぐに点滴を打ちますさかえ…」と言うと、治療を始めます。
吉十郎は与吉のことを「こいつはオレのことが嫌いで、嫌いで…」と言います。そんなようすを与吉はみていました。
 咲は、ふと何かを思い出し、その場を立ち去ります。

咲は、庭で何かを探していました。そこへ仁がやって来ます。
「何をしているんですか…咲さん…」
咲が庭石を動かすと「これは…やはり…」無くなっていたはずの吉十郎の本が出て来ました

いよいよ芝居の初日の日が来ました。吉十郎は、化粧をし衣装も着おえていました。
祐輔は「何があってもいいように、私らが舞台のそでに居ますから…」と言います。
仁は「吉十郎さん、楽しみにしていますから…」と言います。
咲は「与吉ちゃんを捜して来ますね…」と言うと、与吉を探しに行きます。
吉十郎は「さてと、オレも田之助に礼の一言でも言ってくるか…」と言って立ちあがり部屋を出ます。吉十郎は、台詞を言いながら廊下を歩いていました。そして、やはり芝居をするのは無理なのか、廊下で倒れます。
そこへ田之助がやって来ます。「兄さん、大丈夫ですか…」すると吉十郎が「なあに、廊下が滑っただけさ…」と言います。
そんな様子を見ていた座主の親方が吉十郎に「吉十郎、あきらめてくれないか。そんな姿で芝居をしたら、お客様に悪い…」と言います。田之助は、「いいじゃないか…」と言って、親方にはむかいます。
仁は「大丈夫です。必ず立てるようにします…実は、一つ策があります…」と言います。しかし、吉十郎はそこで苦しみ始めます。そして、吉十郎をみんなで支度部屋に連れて行きます。
仁は「吉十郎さん、聞こえますか…」と呼びかけます。吉十郎は「かぶいた芝居がしたかった…芝居はオレだけのものじゃないもんな…」と言います。与吉は心配そうにその様子を見ていました。

吉十郎は横になっていました。舞台の方から役者の台詞が聞こえて来ます。
吉十郎は「始まった…畜生…もうちょっとだったのになあ…」と言います。
仁は「吉十郎さん、体を起こせますか…」と言って、吉十郎を抱き起します。与吉は吉十郎をじっと見つめています。
仁は「立つ為の道具です…芝居中に立てなくなったらと思って作ったものです…」と言って、足に補助器具を付けてあげます。吉十郎は立ち上がり、力を振り絞って最期の芝居を与吉に見せます。
与吉はその場から逃げ出そうとしますが、咲が抱きとめて、咲と二人で次の間から吉十郎を見ていました。咲は芝居の本を出して、与吉に渡そうとします。そして、「本当は、お芝居のことばかり考えてこんな事に…死にそうになってもお芝居ばかり…本当は、言いたいことが沢山あって…でも言えなかった…今おとっちゃんは、与吉ちゃんに話しかけようとしているんじゃないかな…
与吉は、吉十郎が倒れる姿を見ます。そして、「大和屋、大和屋…」と叫びます。吉十郎は涙を流しながら起き上ります。与吉は、吉十郎に「よッ日本一…」と声を掛けます。二人の心が通い合います。
仁は思います。「束の間の延命…もしかしたら延命にすらなっていないかも…この瞬間では、長さにかかわらず命の意味がある…」と

吉十郎が無くなると、与吉は田之助に「田之助さん、オイラおっとうの跡を継ぎたいです。仕込んでもらえませんか」と言います。
仁は、歴史の修正に挑むことを決意します。

仁友堂では、みんなでペニシリンの粉末化の実験をしていました。
咲は自分のビーカーを見てビックリします。いつもの反応と違って白く濁ったからです。咲は仁にビーカーを見せます。すると仁が「これはどうしたんですか…」と聞きます。咲は、「水とアルコールを間違えて…」と言います。
仁友堂では、咲の失敗からペニシリンの結晶化に成功します。

龍馬から手紙が来ます。咲が仁に「龍馬さんは何と言っておられるのですか…」と聞きます。仁は「亀山社中でペニシリンを扱いたいと…」と言います。そして仁は、勝の言葉を思い出します。今、龍馬は危険だ…
咲は「何の為にペニシリンを…これは仁友堂の使命でございます…」と言います。
仁は心の中で、「行こう龍馬さんの所へ…見ててくれよ、お初ちゃん…」と言います。
ここで次回に続きます。

仁が消えて浮遊した時はどうなるのかと思いましたが、元に戻ることができてほっとしました。しかし仁は、お初が生きていれば、別の自分が生まれていたことを確信しました。お初の死で、歴史は修正されたのです。

さて、今回のテーマは、生きる意味についてでした。

仁は吉十郎の治療をしていて、「延命だけしかできない…」と悩んでいました。咲は、そんな仁を見ていて「延命だけではいけないのですか…未来では人は死なないのですか…」と言います。また、「先生がここに来られた訳は、一人一人の命を救うのではないのかもしれませぬ…もっと大きい世の営みを超えるものでは…」とも言っています。
田之助は「命の値打ちとは、長さだけなのかい…」と言います。三者三様でしたが、どれも間違ってはいないと私は思います。ただ、何を主眼として考えるかによって、答えが変わってくるのだと思います。

現代の医者は、根本治療を考えるのですが、そこまで行き着かない時にでも、患者の意思や苦痛にもかかわらず、延命処置を執るきらいがあります。これは医者の独りよがりなのかもしれません。かといって、患者や家族のことを思い、少しでも長く側におられるように延命する場合もあると思います。また、それとは反対に、命の値打ちを長さだけに求めるのではなく、生きた証しをどう引き継がせるのか…と考える場合もあります。医者と言う職業は、人間の死に際に、この様な事を考えて看取らなければなりません。倫理観と言うべきか、哲学と言うべきかは分かりませんが、このドラマで緒方洪庵のいう医の道とは、こういうことも含まれているのだと思います。

そして、仁の出した答えは、「束の間の延命…もしかしたら延命すらなっていないかも…この瞬間では、長さにかかわらず命の意味がある…」でした。これは、吉十郎が与吉の為に最期の演技をした時の言葉でした。その後、与吉は田之助に弟子にしてくれと頼みます。吉十郎の想いが、与吉に通じたからだと思います。

最期に、仁は歴史の修正に挑むことを決意します。ただ、佐久間象山の言葉「その知識を使え…それこそが神の意思じゃ…歴史を変える為につべこべ言わずに進め…もしオマエのやったことが意に済まぬことであったならば神は取り消す。神はそれほど甘くはない…進め、進むのじゃ…」と、どう整合性を図るのかは次回の楽しみです。